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世界各国のお口のお悩みNO1は知覚過敏
サンスターは世界15か国、成人男女15,000人を対象に意識調査を行ったところ、お口の悩みで最も多かったのは、知覚過敏であり15か国平均で30%にのぼった。一方、日本は19%と各国で最も低い結果に。アジアは、他の地域よりも”口臭”と回答した人が多い傾向があり、日本は34%と最も高い結果となった。ちなみに最も少ない8%のブラジルと比べ4倍以上の差に。日本は、”歯ぐきの炎症・歯周炎”も29%で口臭とともに15か国平均値より高いことが分かった。また、オーラルケアに関する問に対して”1日2回歯を磨く”のみ15か国平均を上回ったものの、”舌を磨く”、”フロスを使用”、”砂糖入りのお菓子や飲み物を避ける”に関しては下回った。特に”帰宅後の洗口剤使用している”は最下位であった。がん患者に対する積極的な抜歯が重要?
がんの骨転移や多発性骨髄腫に対して骨吸収抑制剤が広く用いられている。しかし、重篤な副作用として顎骨壊死の発症が問題になっている。万が一、顎骨壊死が生じると顎の痛みや腫れだけでなく病的骨折、咀嚼不全を引き起こして、場合によっては敗血症の原因となることも。日本やアメリカでは顎骨壊死の原因に抜歯を挙げ、骨吸収抑制剤の投与患者には抜歯いないことが一般的に。この度、長崎大学の五月女先生らの研究グループが発表した結果は、抜歯そのものが顎骨壊死のリスク因子にならないどころか抜歯を避けることが逆に顎骨壊死の発症リスクを有意に増加させる、というものであった。この結果、骨吸収抑制剤の投与している環境下でも、薬剤の休薬なくがん治療と歯科治療が並行して行える可能性が示された。口腔内細菌に対するエタノールの相反する作用
近年、アルコール飲料由来のエタノールから口腔内細菌が、発がん物質であるアセトアルデヒドを産生して、口腔がんを発症するの可能性が注目されている。一方で、高濃度のエタノールはマウスウオッシュに用いられ、口腔内細菌によるアセトアルデヒド産生の基質としての働きと、口腔内細菌を除菌、殺菌する働きの相反する作用を持っている。この度、東北大学高橋教授らの研究グループはエタノールの二面的生物作用とその濃度との関連性を発表した。結果としては、濃度により作用は変化するものの、明確な境界は示されず、一定濃度下で重複していた。考察として、飲酒時相当の中濃度では、口腔内細菌の除菌、殺菌作用は低く、口腔内細菌のアセトアルデヒド産生能が高まるため、長時間及び頻繫な飲酒は口腔がん発症リスクを高める可能性が示された。歯周病悪玉菌
(天野先生のお話)歯の表面に付いているバイオフィルムの中には、歯周病菌集団(レッドコンプレックス)と呼ばれる悪玉歯周病菌が存在します。このコンプレックスは主に3種の菌で構成されておりますが、中で最も強いボス的な存在のポルフィロモナス・ジンジバリスは、タンパク質と鉄(特に出血!)が大好きです。健康な歯ぐきには出血がないので寄り付きませんが、一旦、歯磨き不足によって引き起こされる歯ぐきの出血が起こるとけたはずれに増殖していきます。またさらにタバコでも元気になることが知られています。出血というものがいかに危険な状態なのかが科学的に理解されていますので、普段から気を付けたいものです。
根面う蝕とフッ化物の応用
(天野先生のお話)超高齢社会を迎え、深刻な問題として、65歳以上の歯科医療費の増加傾向が2005年以降目立ってきています。原因として歯科受診率が上がり歯牙を残せるようになったこともありますが、より大きな原因として年齢の増加に伴う低下する唾液量(ドライマウス)が挙げられます。緩衝能と言って唾液が多く存在すれば、お口の中の雑菌も薄まり悪さもしづらい状態です。しかし、その緩衝能が下がれば危険な状態になります。
また、年齢とともに歯茎が下がり、歯芽の根の表面(根面)が露出すると、さらにう蝕が早く進行します。普段歯茎がきちんとした位置にあればエナメル質に守れている歯芽が、歯茎が下がることで根の表面にある象牙質が唾液にさらされるようになります。エナメル質に比べてコラーゲンを多く含む象牙質はミネラルの溶出が速いために、容易にう蝕の進行が早く進行します。また溶解する酸性ペーハー(ph)もエナメル質(5.5)に対して象牙質(6.5)は高いので、さらに容易にう蝕が進行します。ちなみに無味の炭酸水がph5.5で普通のお水はph7.0です。
実は、高齢者に限らず、一般の年齢の方々にもう蝕になり易い傾向にある人は、本当に注意が必要です。私たちのクリニックにおいても、う蝕の治療後、何年かしか経過していないにも関わらずあっという間に悪化して”抜歯しなければならない直前”なんてこともたまに経験します。このような状況下で何とか問題解決はないのかと思っておりましす。そこで、今現在、一番有効な手段としてはフッ化物配合の歯磨き粉と洗口剤の両者の助けです。日本歯科保存学会から”出ています根面う蝕の診療ガイドライン”の中に、フッ化物配合(1,100~1,400ppmf)の歯磨剤とフッ化物配合の洗口剤を毎日併用することを推奨ことも言われています。
よく噛めない男性は メタボになりやすいことが判明
近年、咀嚼機能が低下すると、さまざまな健康への悪影響を生じることが注目されている。
新潟大学と大阪大学は,咀嚼能率が低いとメタボリックシンドロームの新規罹患率が高くなり、とくに高血圧、脂質異常、高血糖のリスクが高くなることを発表した。また、こういった傾向は女性ではみられなかったという。今回の研究結果は、メタボリックシンドロームに罹患していなかった集団を4年間追跡調査することで、世界で初めて判明したという。「よく噛めない」ことは生活習慣病のリスクになり、そこには性差があるということが明らかになった。
追跡期間は平均4.4年で、男性の場合、よく噛める人に対するよく嚙めないひとのメタボリックシンドローム罹患率は2.24倍で、統計学的に有意だったが、女性の場合は1.14倍と統計学的に有意ではなかった。また、高血圧と高血糖、脂質異常の罹患率についても、男性のみに有意なリスク比が得られ、その値は高血圧が3.12倍、高中性脂肪血症で2.82倍、高血糖で2.65倍であった。
このメカニズムについては、咀嚼能率の低下による食物・栄養摂取への影響が介在していると考えられている。そして性差については、女性の場合、閉経期以降のホルモン変化による影響や食習慣の違いなどから、男性と比べて咀嚼能率低下の影響が出にくかったのではないかと考えられている。
今回の研究結果によって、咀嚼能率が低い男性はさまざまな疾病に罹患しやすくなることが判明した。
残存する歯の数が少なくなってしまったことで「よく噛めない」状態になってしまった人達への注意喚起はもちろんのこと、食べ物を「よく噛まない」方にも「咀嚼する」という行為の重要性を伝えられる研究結果ではないだろうか。今後は、咀嚼能率の低下と食習慣との関係が明らかにされ、より具体的な指導や改善プログラムの提案ができるようになると期待されている。