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HbA1c値が9%以上の期間が長いと認知症発症リスクが高くなる可能性
オーストラリア・メルボルンにあるNational Center for Healthy Aging (NCHA)は、HbA1c値が9%以上の患者は認知症リスクが高くなる可能性について発表した。
1996年1月1日〜2015年9月30日までの期間に、50歳以上であった2型糖尿病患者253,211人。Kaiser Permanente Northern California(KPNC)統合医療システムに登録されている、2020年2月〜2023年1月までのデータをもとに分析が行われた。
参加者の平均年齢は61.5歳(SD:9.4歳)で、全体の53.1%が男性であった。また、追跡調査の平均期間は5.9年(SD:4.5年)であったとのこと。
すべてのHbA1c測定時において、50%以上の割合でHbA1c値が9〜10%未満、または10%以上であった被験者は、50%以下の被験者と比較して認知症のリスクが高かった。一方、測定時にHbA1c値が6%未満、6~7%未満、7~8%未満であった割合が50%以上であった被験者は、認知症のリスクが低いという結果がでた。
以上のことから、HbA1c値が9%以上の期間が長い患者において、認知症リスクが最大となることが明らかになった。
今回の研究結果によって、認知症リスクが高くなる可能性が示唆された「HbA1c値9%以上」という数値は、日本の基準と比較すると高めの数値であるものの、大きくかけ離れたものではないことが伺える。
糖尿病と認知症は歯科にも大きく関わる全身疾患であることから、今後新たに出版されるガイドラインで明示される基準値については、かならず確認しておきたい。
山梨県秘湯探索
しながわ区民公園
公園を出て、途中で見つけたイタリア料理店の貼り紙に今月で移転の為閉店と書かれておりましたので、ランチタイムにお邪魔して素敵なお料理を頂いてまいりました。
池上散策
シング・フォー・ミー・ライル
世界に通用するう蝕予防の知識とは?
一般の方に、「むし歯予防のためにできることは?」と問いかけると、まず返ってくるのは「歯磨き!」という回答が多いと思います。
一方で、「歯磨きはしているつもりなのにむし歯ができてしまう」と悩まれる方もよく目にするでしょう。それはなぜでしょうか。
歯ブラシの当て方が問題なのでしょうか?フロスをしていないから?
ブラッシングによる「プラークコントロール」はう蝕予防にどう影響する?
まず大前提として、細菌のいないところにう蝕はできません。
プラークのないところにう蝕はできないため、それをコントロールすることは大切です。
「プラークコントロールはう蝕予防に欠かすことのできない重要な因子」。その前提をもった上で、科学的根拠に照らし合わせるとどのようなことがいえるのかを見ていきましょう。
なお、本記事における「プラークコントロール」という用語は、主に「歯面からプラークを機械的に除去すること」を示すものとします。今回は、主に患者自身によるプラークコントロール、つまり毎日のブラッシングのう蝕予防効果について確認していきます。
裂溝のプラークコントロールについてはどう考える?
現在、日本国内のほとんどの人々は毎日ブラッシングを行っているでしょう。しかし、う蝕はなくなっていません。
歯ブラシを用いた通常のブラッシングでは、裂溝や歯間部などから完全にプラークを取り除くことは困難なため、永久歯の裂溝についてはシーラントが有効となる場合があります)。
かつての歯科界では、すべての歯にシーラントを行う方向性が示されたことがありました。しかし多くの歯において、基本的な予防策を取っていればう蝕が発生することは少ないことと、シーラント自体の費用対効果が低いことから、現在では適応症を選んで応用するという考え方になっています。
なお、乳歯の裂溝に対するシーラントの効果についてはあまり質の高い根拠はないのが現状です)。そのため、「溝を見つけたらシーラント!」というのは必ずしも正しくないといえるでしょう。
一方で、プラークコントロールが著しく困難と思われる萌出途中の永久歯や、う蝕リスクの高い患者さんには有効となると考えられます。
また、シーラントは単独で行う予防方法ではなく、フッ化物応用やプラークコントロールの工夫と併せて応用されるものです。萌出途中の大臼歯などには、やや口を閉じ気味にしてブラシを横から入れる「クロスブラッシング」やワンタフトブラシを用いた仕上げ磨きも有効です。
日本国内では知覚過敏抑制として認可されている「フッ化物バーニッシュ」の塗布も有効です。シーラントとバーニッシュの効果についてのシステマティックレビューでは、「いずれも効果的だが、どちらか一方が他方より有効ということはではない」としています)。
ブラッシングだけで完全にう蝕を防ぐことがむずかしい場合はあるものの、適切なブラッシングと歯磨剤などによる基本的なフッ化物応用、食習慣のコントロールなどで多くのう蝕は防ぐことができます。そのためそれらを基本として、必要な場合にフッ化物バーニッシュ塗布やシーラントを追加していくと良いでしょう。
なお、歯間部、つまり隣接面の初期病変への対応としてレジン系材料を浸潤させる方法もありますが、シーラントと比較すると研究が不十分)です。技術的なむずかしさや国内では自費診療となるといったコスト面の問題もあるため、臨床応用については、慎重に検討するべきだと考えます。
歯間部のプラークコントロールについてはどう考える?
歯間部のプラークコントロールといえば、フロスや歯間ブラシの使用が思い浮かびます。確かに歯間清掃用具を使用することで、歯ブラシのみのブラッシングに比べるとプラークを減らすことはできるのですが、う蝕を防ぐかどうかについてはあまり研究されていません)。
患者さん自身によるフロスの清掃では、プラークを落とし切ることがむずかしいため、単に「フロスをしてください」という指導を行うだけでは不十分でしょう。少なくとも「この部分はこのような状態でリスクが高いため、フロスをこのように入れてこう動かしてください」というような具体的で丁寧な説明を行い、あとは患者さんがそれを実践してくれるかどうかということが重要です。
実際のところ、いわゆる「ブラッシング指導を行うことが効果的」という根拠は十分ではありません)。これは決してブラッシング指導が無意味とはいうわけではありませんが、習慣を変えることは基本的にむずかしいと理解しておくことは大切です。
なお、歯ブラシとフロスはどちらを先に使うと良いかについても研究があり、これはフロスが先、という結論となっています)。
歯ブラシで届けた歯磨剤に含まれるフッ化物を維持するという意味では、フロスを先に行う方が好ましく、行動変容の観点から、新しい習慣を定着させるためには、すでにある習慣に結びつけると良いという考え方もあります。
「歯ブラシで磨いた後にフロスを追加する」という順だとついつい忘れがちになりますが、歯ブラシで磨くことはすでに習慣化しているので、その前に「フロスをしてから歯ブラシで磨く」という順でルール決めしたほうが定着しやすいと考えられるのです。
なお、「プロフェッショナルによるフロスには、う蝕予防効果が認められた」とする研究はあります)。この研究では、訓練を受けた者が対象となった子どもに学校でフロスを行っています。
しかし、通常の歯科医院で行う平均的なメンテナンス期間に近い3ヶ月ごとではそのような効果はみられず、患者さん自身によるフロスでもやはりそのような効果は認められませんでした)。
一般的な結論としては、「フロスは無意味ではないものの、う蝕予防の効果についてはエビデンスが不十分」ということになるでしょう。
ブラッシングには、プラークコントロールだけでなく、「歯磨剤中のフッ化物を歯面に運ぶ」という重要な役割があります。フッ化物の配合されていない歯磨剤を用いたブラッシングではう蝕予防効果はみられず、フッ化物配合歯磨剤を用いるとう蝕が減少した、という研究もあります。そういう意味でも「ブラッシング」はやはり大切です。
プラークのないところにはう蝕はできないということを考えると、プラークコントロールはやはり重要、しかしそれだけでは不十分なので、他の予防方法と組み合わせる必要があるということになるでしょう。