口内悪玉菌が腸内に影響!?「体調管理と口内環境の調査」で判明、9割が知らないリスクとは
2019年に欧州分子生物学研究所で行われた唾液と便の微生物研究では、採取した菌の約3割が「唾液と便の両方から採取された」と発表された。これは、ドイツ、フランス、ルクセンブルグなど5カ国の470人を対象に、310種の唾液及び糞便微生物株集団を研究した結果。口腔微生物による大腸への感染と、その後の定着は、健康な人の間で一般的かつ広範であることが判明した。このことから、「口の中の悪玉菌は飲み込まれ、腸まで届き、定着している可能性が考えられ、腸内フローラに影響を与えている可能性がある」ということがわかった。
そこで今回の調査において、論文内容を提示したうえで「“口内の悪玉菌が腸内フローラに影響を与えている可能性がある”ということを知っていたか?」と質問すると、90.6%の人が「知らない」と回答。体調管理のために“腸活”を実践している人でも、80.1%の人は「知らない」と回答した。口の中の悪玉菌が腸内環境に影響している可能性があることについては、多くの人が「知らない」のが実態のようだ。
また、「歯ブラシでケアできるのは口内の表面積の約25%のみ」であることや、「口内の悪玉菌はバイオフィルム(=微生物の集合体。歯垢も含む)の中にいる」こと、「天然由来の植物から発見されたエッセンシャルオイルの成分(※)によってバイオフィルムの中まで浸透し殺菌することが可能」であることや、「エッセンシャルオイル配合の洗口液はフロスより効果的」ということを知っているか聞くと、ほとんどの人が「知らなかった」と回答。
そして、調査対象者のマウスウォッシュ使用率を見ると35.7%という結果となり、使用者にその目的を聞くと、「口臭予防」(64.8%)、「虫歯予防」(59.1%)、「歯肉炎予防」(45.4%)、「口内のネバつき予防」(43.6%)との回答が。「体調管理のため」(8.4%)や「胃腸のケアのため」(3.5%)に使用する人は1割以下で、全身の体調管理のためにマウスウォッシュを使用している人はマウスウォッシュ使用者の26.8%にとどまっていた。
今回の調査内容をもとに、歯科医師の福島一隆氏(「グランプロデンタルクリニック銀座」院長)に詳細を聞くと、「口内の主な悪玉菌としては、虫歯の原因となるミュータンス菌や、歯周病の原因となるジンジバリス菌(P.g.菌)などが挙げられます。なかでも、口の中にいるP.g.菌は非常に強力な菌で、飲み込むと胃酸でも殺菌することができず、腸内に到達して腸内環境を乱してしまうと言われています。免疫力を向上させ、食べ物の消化吸収を助けてくれると言われている腸内細菌のバランスが崩れてしまうと、全身の体調バランスが崩れてしまったり、せっかく取り組んでいる腸活も台無しになってしまったりするおそれがあります」と解説。
「全身の健康のためにも、口の中の悪玉菌を体内に入れないことは、腸内環境を乱してしまう原因を排除する意味でも重要である」と話し、「口内の悪玉菌を体内に入れないためにできることとして、歯医者や歯科衛生士による定期的なプロケアと、自分でできるホームケアがあります。自分で行うホームケアは、歯ブラシやフロス、マウスウォッシュの併用がおすすめです」と説明してくれた。