高齢者の歯の数と大腿骨頸部骨折発症の関連を分析 -高齢女性は20本以下でリスクが約1.2倍に
口腔機能が低下すると、食事などからの適切な栄養摂取がしづらくなるため、口腔機能の低下はさまざまな疾患の要因になり得るとして注目されています。高齢者で発症リスクの高い大腿骨頸部骨折も、口腔機能の低下による骨粗鬆症や姿勢保持力の低下が原因となることが知られています。しかし、口腔機能の評価に最も大きく影響する歯の数と、大腿骨頚部骨折の発症率の関連は明らかになっていません。
大阪公立大学大学院看護学研究科と大阪大学の共同研究グループは、75歳以上の高齢者190,998人を対象に、初回歯科健診時の歯の数と大腿骨頚部骨折発症の関連を検討しました。その結果、歯の数が20本以下の女性は、歯の数が21本以上の女性に比べて大腿骨頸部骨折発症リスクが約1.2倍高いことが明らかになりました。一方で男性は関連が見られませんでした。高齢者の大腿骨頚部骨折は予後が良くないことも多く、要介護状態になることもあるため、定期的な歯科健診を行うことで高リスク者の早期発見や発症予防に繋がることが期待されます。