舌がんの症状、見分け方について
歯科・口腔外科でよく話題になるのがお口の中にできる口腔粘膜疾患・口腔がん。2019年日本口腔腫瘍学の発表では、罹患者・死亡者はともに増加し、男女比は3:2と男性に多くまた若年層でも増加していて、累積5年生存率は約56%と予後不良の傾向にあるとのこと。
口腔がんの発生率は3.4%(2020年)といわれ、2021年には8千人が死亡したとさせている。
口腔がんは、正常な細胞ががん化しても、約10年という長い無症状期を経て口腔がんが発症する。また発症後も医療機関を受診するまでに平均7週間の期間があると報告されている。
今回はその中でも舌がんについて取り上げてみます。
舌がんとは、舌の組織で悪性腫瘍が発生する病状のこと。見分け方や症状には注意が必要であり、普段の生活の中でも簡単にチェックできる舌がんの主な症状や見分け方のポイントを紹介します。
・口のなかの潰瘍やしこりの確認: 舌がんの初期症状には、口内にできる硬い、潰瘍(内向き)やしこり(外向き)が含まれます。これらがなかなか治癒せず、成長する場合は要注意です。2週間過ぎても変化がなければ歯科医へ相談。
・舌の変色や異常な出血: 舌がんでは、舌の色が変わったり、異常な出血が見られることも。これらの変化は舌の健康に異常がある可能性を疑います。多くは赤もしくは白色。
・痛みや違和感: 舌がんによって口内に痛みや違和感が生じることがあります。特に食事や言葉の発声時に痛みを感じる場合は注意が必要です。ふだんから歯や入れ歯の尖がりが原因になることもあるので注意する。
・舌の動きの制限: 舌がんが進行すると、舌の神経が障害されて舌の動きが制限されることがあります。口の中での舌の自由な動きが損なわれた場合は、歯科医の診察が必要。
・リンパ節の腫れ: 舌がんが進行すると、周囲のリンパ節が腫れることがあります。首の付け根や耳の後ろなどで触れられる腫れがあれば、迅速な検査が必要です。
・嚥下(のみこみ)の困難: 舌がんが進行すると、飲み込みが難しくなることがあります。嚥下に困難が生じた場合は、早期の医療検査が必要です。
・言葉の発音の変化: 舌がんが進行すると、言葉の発音が変化することがあります。舌の機能が影響を受けるため、言葉がハッキリと発音できない可能性があります。
これらの症状が一つでも見られる場合は、迅速な歯科医師の診察が重要です。舌がんの早期発見は、治療の効果が高まり成功につながる。また、直ちに医療機関を受診することで死亡率や罹患率も低下する。
当院において定期健診の項目の一つとして口腔粘膜疾患・口腔がんのチェックを積極的に取り入れておりますので、皆様の舌がんのリスクを低減するために貢献しています。