実は「歯磨きの常識」が激変していた…! 口内トラブルを防げる「超簡単な裏ワザ」週刊現代
高濃度フッ素入りの歯磨き粉を使おう
これらの口内トラブルを治し、再発を防ぐためにはどうすればいいのだろうか。症状ごとに対策を見ていこう。
虫歯は進行してしまうと医者にかからなければ完治できないが、初期虫歯の場合は、歯の再石灰化を進めることで治癒する場合もある。
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歯科医師で株式会社デンタルディフェンス代表の生澤右子氏が語る。
「歯の再石灰化を促すには、歯にフッ素を塗るのが重要です。高濃度フッ素配合と書かれた歯磨き粉の表示をよく確認し、フッ素濃度が1500ppmよりも多いものを選んで使ってください」
フッ素入りの歯磨き粉を使った後は、少なくとも1時間は何も口にしないことを心がけるのも大切だ。
フロスは食後に使う
治療を受ける時も、詰め物の種類はよく考えて決めたい。光歯会森歯科クリニック院長の森昭氏が打ち明ける。
「価格が安いからと銀歯をすすめられた時は要注意です。銀歯からイオンが溶け出して、歯が真っ黒に変色してしまうこともあります。多少値が張っても、セラミックや金歯を選ぶほうが安全です。いま銀歯が入っている人も、耐用年数は5~7年がいいところなので、その期限を過ぎたところで別の素材へ変えることを検討してもいいでしょう」
予防としては、歯を磨くタイミングを変えるだけでも高い効果が得られる。森氏が続ける。
「食後すぐに歯を磨くのが常識とされていました。しかし、食後は唾液の効果が一番期待できる時なので、プラーク(歯垢)から歯を守るという意味合いでは、歯磨きは食後ではなく、朝起きてすぐと夜寝る前の2回行ってください」
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歯周病は口臭だけでなく、土台が崩れることで歯を失う原因にもなる。対策としては歯垢を減らす「プラークコントロール」が重要だ。歯を磨いた後でも口臭が気になる、常に歯茎が張っている感覚がする人には特に取り組んでほしい。
「歯周病は歯と歯茎の隙間や、歯の間に歯垢が作られることから始まります。歯垢はブラッシングだけではまったく除去できません。こまめにデンタルフロスを使い、歯垢を取り除くことが必要です」(森氏)
歯ブラシと違い、デンタルフロスを使ったクリーニングは食後すぐに取り組もう。とはいえ、歯垢が固まって歯石になってしまうと自力で除去することは難しい。4ヵ月に1回を目処に、歯科医に通って歯石・歯垢の除去を受けるのが、予防としては確実だ。
免疫力を高めて口内トラブルを防ぐ
歯周病は身体の免疫力が落ちることで症状が強く出やすい。都内在住の中田光子さん(54歳・仮名)が語る。
「個展に出すため、1週間ほど睡眠時間を削って絵を描いていた時、なぜか歯茎が常に張っている感覚があったのです。歯もぐらついていて不快に思っていたのですが、かかりつけの歯科医から疲労が溜まると歯周病の症状が進行すると聞いて、納得しました」
歯周病の進行を食い止めるには、免疫力を高めるため十分な睡眠時間を確保することも意識したい。睡眠の質を高めるため、市販の「睡眠テープ」を口に貼って寝るのもいいだろう。睡眠中に口呼吸になるのを防げるので、いびきや口の乾燥も予防できる。
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多くの人が悩まされる口内炎も、免疫力が落ちることが発症原因の一つだ。特に口内の粘膜は身体の不調のあおりを受けやすい。
疲労を溜めないことに加え、食生活で粘膜を保護する栄養素を積極的に摂ることで治りが早くなる。レバーに含まれるビタミンB2や、バナナに含まれるビタミンB6がその代表格だ。
頻繁に口内炎ができてしまう人や、毎回症状が重くなってしまう人は薬の力に頼るといい。
「歯科医で処方される塗り薬を使うのが一番です。デキサメタゾンが主成分の軟膏は炎症を抑える作用が大変強くなっています」(川越まつむら歯科クリニック院長の松村佳樹氏)
唾液が殺菌の特効薬
ここまで代表的な口内トラブルを解消するための方法を紹介してきた。なんと、これらすべてのトラブル治癒、予防に効果を発揮する方法がある。それは唾液の分泌量を増やすことだ。
唾液の持つ殺菌作用と自然治癒作用を最大限利用することで、虫歯や歯周病の進行を抑え、口内炎や傷の治りを早めることが可能になる。前出の森氏がすすめるのが、唾液の分泌を促す「あご押し」だ。
「あごには、唾液を分泌する唾液腺という部位があります。その中でも特に大きな、あごの下にある顎下腺、舌の裏にある舌下腺、耳の下の耳下腺をマッサージすると、より多くの唾液が分泌されるのです」
実は「歯磨きの常識」が激変していた…! 口内トラブルを防げる「超簡単な裏ワザ」 今のうちから「脱マスク」に備える© 現代ビジネス
あご押しの詳しいやり方は上のイラストを参考にしてもらいたい。少し行うだけで、押したポイントから、じんわりと唾液が出てくるのが感じられるはずだ。
「あご押しを行うタイミングは、口の中を清潔な状態に戻す必要のある食後がおすすめです。紹介した3つのポイントすべてを押すことができるといいのですが、時間がなければどこか1ヵ所を刺激するだけでもいいでしょう」(森氏)
あご押しに加え、口角を上げる表情を作るだけでも、唾液は耳下腺付近から多く分泌される。こちらも気がついた時に取り組んでみるのがおすすめだ。
マスクが取れた時、口のトラブルを抱えていては気分が晴れない。晴れやかな気分で「脱マスク」するため、いまから口内ケアに取り組んでみるのはいかがだろうか。
「週刊現代」2023年3月4日号より