歯科健診を全世代へ…改正案概要判明
自民党の国民皆歯科健診実現プロジェクトチーム(PT、座長・古屋圭司元国家公安委員長)が今国会に議員立法での提出を目指す「歯科口腔(こうくう)保健推進法」改正案の概要が27日、判明した。歯の健康が全身の健康や平均寿命にも影響するといわれる一方、現行の歯科健診は乳幼児期や児童生徒など10代以下と高齢者が中心で、働き盛りの世代で手薄である現状を踏まえ、全世代での歯科健診の重要性を訴えた。
改正案は、基本理念として新たに「国民が歯科口腔保健に関する正しい知識」を持つことや、虫歯や歯周病など歯科疾患の予防に向けて取り組むよう求めた。
個人に対する健診の義務付けは示さなかったものの、歯科健診について、現行の「定期的な検診」から、「生涯にわたる定期的な検診」とし、年齢に関係なく健診を受けることで、疾患の早期発見と治療を促進することを求めた。幅広い国民が歯科健診を受けることができる環境整備に向けた財政措置も提案した。
国民皆歯科健診は、昨年6月に政府が閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」に明記された。口腔機能の低下が全身疾患につながるケースが指摘されており、多くの国民が歯の健康を保つことが医療費抑制にもつながるとの考えが背景にある。
ただ、歯科健診が義務付けられているのは1歳半と3歳児、就学時や小中高生の学校健診などに限られる。40歳からは10年に1回、健康増進法に基づく歯周病対策の健診が全国市町村の約75%で行われているが、全国平均の受診率は5%にとどまっている。