うがいは少量の水で1回のみ,“フッ化物配合”歯磨き粉の適切な使い方
う蝕(虫歯)予防の「フッ化物」配合の歯磨き粉を、正しく使っていますか?
1月初旬、虫歯治療を専門とする日本口腔衛生学会など4学会が合同で、「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」を発表されました。
そこでは、6歳以上はフッ化物濃度が1500ppmF(日本の製品を踏まえ1400~1500ppmF)の歯磨き粉を、歯ブラシ全体に(1.5~2cm程度)つけることを勧めています。
他にも、歯磨きの回数は「就寝前を含めて1日2回」で、歯磨きをしたあと口に残った歯磨き粉は「軽くはき出す」か「うがいをする場合は少量の水で1回のみ」としています。今まで口をしっかりすすいでいた人にとって「軽くはき出す」は、違和感があるかもしれません。
なお、6歳未満の子どもは、フッ化物濃度1000ppmF(日本の製品を踏まえ900~1000ppmF)の歯磨き粉を、以下の通りの使用を勧めている。
・歯が生えてから2歳
使用量:米粒程度(1~2mm程度)
歯磨きの後にティッシュなどで歯磨き粉を軽く拭き取ってもよい。
歯磨き粉は子どもの手が届かない所に保管する。
歯磨きについて専門家のアドバイスを受ける。
・3~5歳
使用量:グリーンピース程度(5ミリ程度)
子どもが歯ブラシに適切な量をつけられない場合は保護者が歯磨き粉を出す。
これまでよりフッ化物濃度を高濃度にしていて、歯磨き粉のフッ化物濃度は高いほど虫歯予防の効果が高いと考えられているが、飲み込んでしまうリスクがあるため、このような年齢別にしたのだという。
フッ化物なしの歯磨き粉は国際的に非推奨
「歯磨き粉は歯ブラシ全体に」と聞いて、「多い」と思った人もいるのでは?では歯磨き粉をもっと使えば、効果が高くなるのか? そもそもなぜ、歯磨き粉の使い方をいま新たに発表したのか?
歯磨き粉の利用方法に限らず、医療技術の多くは、科学的根拠や利益や有害性を考慮して推奨方法が定められています。そのため国際的に合意されている推奨方法は、研究の進展などに合わせて時々変わっています。 今回の歯磨き粉の利用方法も、現在の国際合意に合わせる形で新たにしました。
フッ化物が入ってない歯磨き粉は推奨しない?
フッ化物が含まれない歯磨き粉は、国際的に推奨されておらず、今回の更新もそれにあわせています。 フッ化物は、細菌がつくる酸によって歯がとかされにくくして、またとかされた歯の回復を促進し、さらに細菌が酸をつくる働きを弱めます。 これまでの研究でフッ化物をふくむ歯磨き粉を使った場合に、虫歯の発生が少なくなることが示されています。 一方で、細菌に殺菌作用のある成分を配合した歯磨き粉であっても、フッ化物を含まない歯磨き粉では虫歯の予防効果は明確ではありません。
フッ化物を口の中に残した方が、虫歯の予防効果が高い?
フッ化物配合歯磨剤は、量や濃度が高いほど効果が高いと考えられます。しかし、ブラッシングの妨げになるくらいつけすぎるのはやめた方がいいでしょう。
歯磨き後は、口をすすがないほうが効果が高い?
あまりすすがず、フッ化物を口の中に残した方が、虫歯の予防効果が高いと考えられています。 そのため、全くすすがないことを推奨する場合もあります。
1日2回の歯磨きを推奨しているが、就寝前ともう1回はいつがいい?
一般的に、朝と夜の2回はみがくのがいいでしょう。昼にもみがける環境であれば、ブラッシングをした方がいいでしょう。
他に推奨する歯磨きの方法は?
歯磨きの方法はさまざまにありますが特定の方法が誰にでも良い、というのはないようです。歯科医院で自分の歯磨きの弱点や良いみがき方を教えてもらうのもいいでしょう。歯の間を清掃するデンタルフロスや、歯と歯の隙間が比較的広い場合に使える歯間ブラシ、電動歯ブラシなどを利用するのも良いでしょう。歯磨きの時間に関しては2~3分以上みがくことが推奨されることが多いようです。
こどもの頃と比べて歯磨きの常識が変わったと思っている人も多いのではないだろうか?
私は近頃「口をすすがない」方法にかえました。当初は口の中が違和感でいっぱいだったが、意外にも数日で慣れてしまった。みなさんも時代にあった正しい方法で歯の健康を守っていただきたいと思います。