母親由来の口腔細菌は母乳栄養児より人工乳栄養児で多い
私たちの口腔には無数の細菌が⽣息しており、最近では消化器や呼吸器など全⾝の疾患とも関係することがわかってきた。そのため、⼝腔細菌が⼝腔に定着していく過程を理解し制御することで、さまざまな疾患を予防できるようになると考えられている。
これまでの研究から、⼝腔には⽣後6週頃までに⼝腔固有の細菌が⽣息しはじめ、そこから次々と多種多様な細菌が定着していくことがわかっていた。しかし、それらの細菌の主要な供給源と考えられている、⺟親の⼝腔細菌の定着量や役割については⼗分に解明されていなかった。
九州大学は、生後4ヶ月の乳児の口腔では母親由来の口腔細菌が定着していること、さらに母親由来の口腔細菌が占める割合は母乳栄養児よりも人工乳栄養児において有意に高くなっていることを明らかにした。
今回の結果から、母親の口腔細菌が乳児の口腔に移行していること、また母親由来の口腔細菌の定着は乳児の栄養方法と強く関連することが示唆された。
母親の口腔細菌を早期に獲得することが、乳児にとって良いことなのか、悪いことなのかについては、まだ明らかにされていない。今回の研究結果が、母親由来の口腔細菌による子どもの健康への影響について解明するための基盤データとなることが期待される。