口腔内細菌に対するエタノールの相反する作用
近年、アルコール飲料由来のエタノールから口腔内細菌が、発がん物質であるアセトアルデヒドを産生して、口腔がんを発症するの可能性が注目されている。一方で、高濃度のエタノールはマウスウオッシュに用いられ、口腔内細菌によるアセトアルデヒド産生の基質としての働きと、口腔内細菌を除菌、殺菌する働きの相反する作用を持っている。この度、東北大学高橋教授らの研究グループはエタノールの二面的生物作用とその濃度との関連性を発表した。結果としては、濃度により作用は変化するものの、明確な境界は示されず、一定濃度下で重複していた。考察として、飲酒時相当の中濃度では、口腔内細菌の除菌、殺菌作用は低く、口腔内細菌のアセトアルデヒド産生能が高まるため、長時間及び頻繫な飲酒は口腔がん発症リスクを高める可能性が示された。
2022年02月13日 18:01