根面う蝕とフッ化物の応用
(天野先生のお話)超高齢社会を迎え、深刻な問題として、65歳以上の歯科医療費の増加傾向が2005年以降目立ってきています。原因として歯科受診率が上がり歯牙を残せるようになったこともありますが、より大きな原因として年齢の増加に伴う低下する唾液量(ドライマウス)が挙げられます。緩衝能と言って唾液が多く存在すれば、お口の中の雑菌も薄まり悪さもしづらい状態です。しかし、その緩衝能が下がれば危険な状態になります。
また、年齢とともに歯茎が下がり、歯芽の根の表面(根面)が露出すると、さらにう蝕が早く進行します。普段歯茎がきちんとした位置にあればエナメル質に守れている歯芽が、歯茎が下がることで根の表面にある象牙質が唾液にさらされるようになります。エナメル質に比べてコラーゲンを多く含む象牙質はミネラルの溶出が速いために、容易にう蝕の進行が早く進行します。また溶解する酸性ペーハー(ph)もエナメル質(5.5)に対して象牙質(6.5)は高いので、さらに容易にう蝕が進行します。ちなみに無味の炭酸水がph5.5で普通のお水はph7.0です。
実は、高齢者に限らず、一般の年齢の方々にもう蝕になり易い傾向にある人は、本当に注意が必要です。私たちのクリニックにおいても、う蝕の治療後、何年かしか経過していないにも関わらずあっという間に悪化して”抜歯しなければならない直前”なんてこともたまに経験します。このような状況下で何とか問題解決はないのかと思っておりましす。そこで、今現在、一番有効な手段としてはフッ化物配合の歯磨き粉と洗口剤の両者の助けです。日本歯科保存学会から”出ています根面う蝕の診療ガイドライン”の中に、フッ化物配合(1,100~1,400ppmf)の歯磨剤とフッ化物配合の洗口剤を毎日併用することを推奨ことも言われています。
2022年02月02日 12:09