肥満と歯周病リスクについての新知見
厚生労働省による『令和元年国民健康・栄養調査報告』によると、20歳以上の日本人男性の33.0%、女性の22.3%が肥満であるという。年代別にみると、男性では40歳代の39.7%がもっとも高く、次いで50歳代の39.2%となっている。女性では、60歳代の28.1%がもっとも高くなっている。これまでにも肥満と歯周病には関係性があることが知られていたが、その機序について完全な解明はされていなかった。この度、米国ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究チームが、発表した論文によると、肥満に起因する慢性炎症により、骨髄由来抑制細胞が破骨細胞に分化し、歯槽骨の破壊が起こるという。このことから、歯周病のみならず、関節炎や骨粗鬆症など、肥満により引き起こされる全身性の骨疾患の発現機序にも光を当てるものであるという。
歯科医院には、老若男女問わず数多くの方々が来院する。その中には、全身疾患の未病患者が数多く含まれている可能性が高い。肥満度の高い患者が来院した際に、歯周病のリスクのみならず関節炎や骨粗鬆症リスクについても情報提供できるようになれば、歯科医院は地域包括ケアの時代において“人々の健康ステーション”へと昇華されていくと期待される。
2021年12月15日 21:39