30代以上の血糖コントロール不良が歯の損失に影響
糖尿病と歯周病は密接に関係し、互いに影響を及ぼすことが明らかになっている。令和元年国民健康・栄養調査によると、糖尿病は、日本人成人男性の19.7%、女性の10.8%が罹患している身近な疾患であり、糖尿病予備群も男性は12.4%、女性は12.9%もの人が該当すると推計されている。滋賀医科大学とサンスター株式会社は、30代以上で血糖コントロールが悪い人ほど歯数が少なく、高血糖と喫煙により歯の喪失リスクが高まることを明らかにした。また、中年期(40-59歳)において、高血糖(HbA1cや空腹時血糖値が高い)と喫煙の条件がそれぞれ単独で該当する群は、両条件とも該当しない群(正常血糖かつ喫煙なし)に比べてオッズ比が高く、歯の本数が24未満になるリスクが高いことが示された。両条件が重なる群(高血糖+喫煙、糖尿病予備群+喫煙、糖尿病型+喫煙)では、さらにリスクが高いことが明らかに。今回の結果により、糖尿病と診断、もしくは健康診断で糖尿病予備軍と指摘された場合、早期に歯科検診を受けることの必要性が明らかになった。また血糖値が高い人が歯周病やう蝕の予防と治療を十分に行うことの重要性も示唆された。
歯をできる限り残し、いろいろな食べ物をしっかり噛んで食べることは、全身の健康維持に寄与する。そのため、良い生活習慣を心がけるだけでなく、定期的な歯科受診によって口腔内も健康に保つことが、健康寿命を伸ばす秘訣と言える。