紙巻たばこと加熱式たばこはどう違う
紙巻たばこは、たばこ葉を燃焼させることで850℃以上に達し、燃焼による煙が発生します。その煙には、数千もの化学物質が含まれ、その内の約100種類は喫煙関連疾患(⼼⾎管疾患、がん、慢性閉塞性肺疾患など)の原因とされる有害性成分です。
また、たばこの煙に含まれるこれら有害性成分が原因となり、年間約600万⼈が死亡していることが報告されています3)。
一方で加熱式たばこは、たばこ葉を燃焼させるのではなく、加熱することで、煙ではなく蒸気を発生させるたばこ製品です。
「燃焼」によって多くの有害性成分が発生する紙巻たばこに対し、「燃焼」を伴わない加熱式たばこでは、発⽣する有害性成分の量は⼤幅に低減されています。その蒸気に含まれる有害性成分は紙巻たばこの煙に比べ、平均して90〜95%以上低減されていることが実証されています。また、紙巻たばこからTHSに切り替えることで、喫煙者の有害性成分への曝露が低減し、禁煙した喫煙者に近いレベルとなることもわかっています。
歯の変色に着目した研究では、紙巻たばこの煙が歯のエナメル質、象牙質、コンポジットレジン(プラスチック製詰め物)の変色を引き起こし、さらには、歯の硬組織とコンポジットレジンの色の不一致を引き起こすのに対し、加熱式たばこではそれらの変色は最小限に抑えられることがわかっています。
また、口腔粘膜および歯肉細胞において、加熱式たばこの蒸気は、紙巻たばこの煙に比べて、細胞死や炎症、角質化といった歯肉培養組織の細胞損傷が有意に少ないことも報告されています。
紙巻たばこの害は、周知の事実で、喫煙による害をなくす最善の方法は、「禁煙」です。しかし、今なお世界中の喫煙者の多くは喫煙を続けており、その数10億⼈以上とされています。また、禁煙外来に通っても、治療終了9ヶ月後の禁煙継続の割合は27.3%にとどまるとの国内調査報告もあり4)、多くの喫煙者にとって禁煙を実行し継続することは、非常に困難であるといえます。
そこで、禁煙推進の取り組みと同時に、成人喫煙者へのアプローチとして重要となるのが、「たばこハーム・リダクション」という考え⽅です。これは、禁煙せず、今後も喫煙を続ける成人喫煙者に対し、より健康被害のリスクが少ない選択肢として紙巻たばこの代替となる製品を提供できれば、公衆衛⽣にとってプラスになるという考え方です。こうして紙巻たばこの代替品として開発された新しいたばこのひとつが、燃やさず加熱し、煙ではなく蒸気を発生させる「加熱式たばこ」なのです。
もちろん、喫煙による害をなくす最善の方法が「禁煙」であることに変わりはありません。しかし、禁煙せず、今後も喫煙を続ける成人喫煙者がいまだ多い状況に対して、喫煙による害の低減を目指し、加熱式たばこなどの「煙の出ない製品」を開発し提供していくことは、社会的にも意義があると考えています。