歯磨きから始める感染予防
ウイルス感染から身を守る有効な手段として、マスクの着用、手洗い、うがい、そして充分な栄養摂取と休息などの体調管理、3密(密集・密閉・密接)を避ける事です。しかし、もう一つさらに有効な方法があると東京歯科大学の奥田克爾教授は言います。それは「ていねいな歯磨き」だそうです。おおよそ100年前に感染爆発したスペイン風邪の際に、アメリカ歯科医師会研究所の初代所長ウェストン・プライス博士はお口の健康とウイルスが引き起こす感染症の間にある関連性を調査。スペイン風邪に感染した260人を対象に調査した結果、歯周病になっていた人は全体の72%、歯周病になっていなかった人は32%と半分以下であったようです。当時はなぜこのような大きな差が出るかは解明出来なかったのですが、最近では危険なウイルスが体内への侵入に歯周病菌が手引きしていることが分かって来ました。具体的には、お口の中がプラークに溢れて歯周病菌が我が物顔でいると歯周病菌の出す毒素が粘液の層を溶かして壊します。そしてウイルスの標的である粘膜細胞のレセプターが丸見えとなります。結果としてウイルスによる吸着を容易に許してしまい、感染がおこります。また、歯周病菌の出す毒素は、ウイルスの持つ「細胞の入口を開ける鍵」をさらにパワーアップさせると言うんです。こうした状況はインフルエンザウイルスの研究から解明された事ですが、コロナウィルスも細胞のレセプターに吸着して侵入することが共通しているのでほぼ同じことと考えてよさそうです。歯周病菌が増えないよう、御自宅ではていねいな歯磨きを実践し、歯科医院にて(歯周病菌の巣となる)歯石をこまめに取り除いてもらい、お手入れ不足には充分気をつけましょう。
2021年02月24日 14:01