海外における歯科保険事情
日本では、歯科治療は原則健康保険という公的医療に組み込まれておりますが、海外事情を見てみますと歯科治療が公的医療システムに組み込まれている国はあまり多くはないようです。ヨーロッパでは、ドイツなど日本のように成人まで歯科給付されるようですが、イギリス、北欧諸国では、原則未成年まで。南欧諸国ではそれすらないようです。25年以上前になりますが私の留学していたアメリカでも公的なものはなく任意で加入する保険を使用しておりました。歯の清掃など予防処置はほぼカバーされておりましたが、それ以外はおおよそ半分程度のカバーでした。具体的にお話すると、歯が痛くなって歯医者にかかり、神経(歯髄)を取り(根管治療)、かぶせ物を入れてもらうとおおよそ20万円もの請求がきます。任意に加入した保険で半分給付されても10万円は自己負担しなければなりません。そのため中には払えず一番安い治療の抜歯を選択する人もたくさん見て参りました。ではなぜ歯科治療が公的医療システムに組み込まれて来なかったを考えると、一つは歯科治療が贅沢品であり公的給付になじまない、また、「治すための治療」に対する給付に対して歯科治療が「治す」ことだけに留まらない性質が合ったと考えられています。しかし、当時日本では歯科医師会が義歯やかぶせ物まで含めたこそ歯科治療と主張した結果給付に至ったそうです。
1920年代、けがや病気になった場合の疾病手当から始まり1940年代以降公営医療が整備されて来るようになります。現在、諸外国給付の拡充が検討されているようですが、義歯やかぶせ物というよりは、歯科検診や、口腔ケアなどの予防管理、歯周病や歯の根の先の病巣(膿の袋)などの慢性炎症対策が主軸になるそうです。
2020年08月10日 17:20